アマリエの愛したチョコレートとアルフォンス・ミュシャ
<アマリエ>はスペインで現存する最古のBean to Barチョコレートブランド。
豆の選定から全ての製造工程を自社で行っています。
このスタイルは、三代目アマリエの美学に基づいたものでした。

口どけ滑らかにする工程のコンチングの様子

カカオの実を割り殻からカカオを取り分けている様子

アマリエ工場のリトグラフ
カカオ王と呼ばれたアントニ・アマリエは、1878年に当時改革とも言われるチョコレート製造工場をバルセロナの中心地に建て最新機器を導入。
素晴らしいカカオ芳香を持つ口どけ滑らかなチョコレート製造に成功し、スペイン中のチョコレート愛好家の賞賛を受けました。
世界中を旅して知識と経験を身に付け、カカオ農園に自費で何度も足を運び、カカオの素材から厳選することに重きを置いていました。
品質を保つこと、独自焙煎で独創的なアロマを作り出すこと、最新機器で口どけを良くすること、カカオも芸術を極めるようにこだわり抜いてチョコレートを製造しました。
彼はまた広告にも力を入れ、アルフォンス・ミュシャなどの芸術家をポスターに起用すると共に、コンクールを催したり芸術家のパトロンとしての芸術家支援活動も積極的にしていました。
今でも日本で催されるミュシャ展で必ずと言って良い程出品される「夢想」の他、「桜草」「ビザンチン風の髪飾り」の3つの絵は、アマリエ創業100周年の記念にアマリエ広告ポスターに起用されました。
そしてそれは、今もアマリエ商品のパッケージに使われています。

写真左から1899年「ビザンチン風の髪飾り」、1900年「夢想」、1901年「桜草」

アルフォンス・ミュシャの缶に入った、リーフチョコレート
アマリエの家とガウディ建設のカサ・バトリョ
カタルーニャ版アール・ヌーボーのバルセロナのモデルニスモ建築に対するアマリエの最大の貢献のひとつは彼の自宅である「カサ・アマリエ」です。
※カタルーニャ語では「アマリエ」と発音しますが、スペイン語では「アマトリェール」となるため、観光案内や日本語マップには「カサ・アマトリェール」と記載されています。アマリエではカタルーニャ語が主流のため、日本語のブランド名は「アマリエ」になりました。
ガウディと並び称せられる建築家ジュゼップ・プッチ・イ・カダファルクへアマリエが家具や装飾全ての改装を依頼したもので、パセオ・デ・グラシア41番地にあります。
当時の領収書から換算するとそのリフォーム代金は相当なる金額になるそうです。
この通りは「グラシア通り」別名「建築家通り」とも呼ばれ、当時のモデルニスモを代表する建築が立ち並んでおり、バルセロナのシンボルとして、国際的に高い評価を受けていますが、その中でもひと際目立つ切妻屋根の建造物。
フランダース地方のゴシック様式ですが、バルセロナでは今も珍しく個性的です。
後にカサ・アマリエの隣にガウディがカサ・バトリョを手掛けますが、その際にアマリエの家を意識して建てたと言われています。
その素晴らしい建築「カサ・アマリエ(カサ・アマトリェール)」はアマリエ財団により復刻され現在観光名所の一つとして公開されています。

カサ・アマリエ(アマトリェール)とカサ・バトリョ サン・ジョルディの日だったのでバラで装飾された特別仕様
お隣の「カサ・バトリョ」は連日行列で、バルセロナに来た人はほぼ全員が外観だけでも見に来る超有名な建造物ですが、時間があったらぜひ「カサ・アマリエ」も中に入って見学してください。
本当に本当に、ため息の出るような素晴らしい家、調度品。微細に渡って職人の手が入った壁、天井、床、窓のステンドグラス。
一つ一つが芸術品で、そしてトータルに品が良くて美しいです。
外壁の手の込んだ装飾、窓の淵や枠、室内の扉の枠のレリーフは一つ一つストーリーがあり、それにちなんで細工が施されています。
真ん中の画像はアマリエの部屋の入口を飾るレリーフ。ロマングラスのコレクターを象徴。
サイドには、財布を加えた鳥(アマリエは芸術やコレクション収集、カカオの研究開発にお金をたくさん使った)、フクロウ(知性)で装飾されています。
動物と組み合わせてカメラを持たせたり(アマチュア写真家としてかなりの腕であった)、チョコレートを作っている様子だったり、かわいいレリーフも色々あります。
建築家ジュゼップ・プッチ・イ・カダファルクの象徴のクローバーとカカオと呼ばれたアマリエを象徴するココアツリーや、アマリエ家のアーモンドの花のモチーフも装飾に取り入れられています。
古い建物を当時のモノクロ写真から色を分析して再現したアマリエの家(カサ・アマトリェール)への入場は人数制限されており、靴に使い捨てカバーをかけてのガイドさんつきの丁寧な少人数制のツアーです。
こういう人がカカオにこだわってチョコレートを作ったのかと、アマリエのチョコレートの本当のすごさをしみじみと感じます。
旅に行くたびに買い集めたロマングラスのコレクションも展示されています。
1階には、アマリエのチョコレートショップとカフェがあり、美しい建築と調度品を堪能した後は、アマリエのホットチョコラーテが楽しめます。


カサ・アマリエからバルセロナ中に広がるタイル
カサ・アマトリェール(アマリエ三代目の家)アドレス
観光客が必ず訪れるスポットの一つ、ガウディ建設のカサ・バトリョの隣なので、バルセロナのどこで聞いても誰でも教えてくれると思いますが一応…
CASA AMATLLER (カサ・アマトリェール/カサ・アマリエ)
Passeig de Gràcia, 41, 08007 Barcelona
アマリエのチョコレート
アマリエのチョコレートは下記の5種類。
①リーフチョコレート
②アーモンドチョコレート
③アマリエ・フラワーチョコレート
④チョコレートバー
⑤ホットチョコラーテ ラ・タサ
商品についての詳しい説明は下記の記事を読んでください。
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アマリエ(Chocolate Amatller)
アマリエの愛したチョコレートとアルフォンス・ミュシャ <アマリエ>はスペインで現存する最古のBean to Barチョコレートブランド。 豆の選定から全ての製造工程を自社で行っています。 ...
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アマリエのチョコレート工場
三代目アマリエの娘は生涯独身を通したため、1972年にアマリエブランドは、1840年から6代続く老舗チョコレートメーカーのシモン・コール社が買収しアマリエブランドを引き継いでいます。
バルセロナから車で40分くらいのSant Sadurni d’Anoia(サン・サドゥルニ・ダノヤ)という見晴らしの良い場所に、シモン・コールのチョコレート工場があります。
この地域は、スペインの誇るスパークリングワインCAVA(カヴァ)の工場が密集していることで有名なところ。
多くの観光客がカヴァ工場を訪れるサン・サドゥルニ・ダノヤで、シモン・コールは人気の観光スポットになっています。
子供連れのファミリー旅行者が多いので、大人がカヴァを楽しむ合間にチョコレート工場を子供に見学させられるからとか。
工場の周りはおいしそうなチョコレートの香りでいっぱい。
子供達は好物のチョコレートでワクワクしますが、大人も楽しめるエンターテイメント性に優れたプレゼンテーションがあります。
高い天井まで一面の壁はスクリーンになり、正面だけでなくサイドにも画面が映し出され、プレゼンテーションが進むにつれ画面が切り替わったり3面全てを使ったりと、躍動感あふれた映像に夢中で見入ってしまいます。
カカオ農園からカカオが収穫され、船で海を渡りスペインに届けられ、シモン・コールの工場で独自手法によりチョコレートができるまでのストーリー。
何度観ても楽しいです。
プレゼンテーションの後は、ガラス越しにチョコレート製造の模様を見学できます。
ここでサプライズな演出がありますが、これはぜひ現地で体験してください♪
テンパリングを終えたチョコレートをモールド(型)に流してクーリング(冷却)し、型から出して箱に詰めるところまでの一連の流れを見ることができ、解説を聞きながらテンパリングしたての液状の温かいチョコレートを試食できます。
なめらかで香りの良い試食のチョコレートはシモン・コールの品質の良さを実感できます。
工場の売店では、シモン・コールとアマリエのチョコレートが全種類並んでいます。
新商品がいち早く並んだり、工場生産できない手作業で作るチョコレートなども売られています。
シモン・コールは子供向けチョコレートも出しているので、お土産に喜ばれそうなかわいいパッケージの物もたくさんあります。
店舗情報(スペイン)
アマリエ、シモン・コールのチョコレート工場
Sant Pere, 37
08770 SantSadurníd'Anoia
バルセロナ(スペイン)
T. + 34 93 891 10 95
http://www.simoncoll.com/visita
visita@simoncoll.com
営業時間:
月曜日から金曜日、
午前9 時から午後7時、土曜日と日曜日の午前9時から午後3時
大人(+ 16歳)€5.50, 小学校~中学生(9〜15歳)€4, 子供(0〜8歳)無料
店舗情報(日本)
アマリエのチョコレートは、シャルマン・グルマン青山ブティック内と
シャルマン・グルマンのオンラインショップで購入できます。